不動産の購入や移転、それは多くの方にとって人生の大きな節目となる非常に重要な決断です。
だからこそ、物件の価格や立地、間取りといった現実的な条件だけではなく「その場所が自分にとって良い運気をもたらしてくれるのか」といった、目には見えない要素も気になってしまうのではないでしょうか。
古来より人々は、住む場所や活動する場所の「方位」が、その人の運命や物事の成り行きに大きな影響を与えると考えてきました。
良いエネルギーに満ちた「吉方位」へ移り住むことで幸運を引き寄せ、悪いエネルギーが溜まる「凶方位」を避けることで災いを遠ざける。それが東洋の叡智である「方位学」の基本的な考え方です。
この記事では、そんな人生の大きな決断をより良い方向へと導きたいと願う皆様のために、不動産選びにおける「吉方位」の考え方と、その具体的な活用法について専門家の視点から分かりやすいかつ、深く解説していきます。
不動産の購入における運勢への影響
一日の多くの時間を過ごし、明日への活力を養う場所である「住まい」。そして事業の成功を左右する拠点となる「オフィス」や「店舗」。
これらの不動産に「移動する時」、どの方位に位置しているかは、私たちの運勢に決して小さくない影響を及ぼすと方位学では考えられています。
その土地や建物が持つ「気」のエネルギーと、そこに居住し活動する人の「気」のエネルギーがうまく調和することで、物事はスムーズに進み心身ともに健やかな状態を保つことができます。
逆にそのエネルギーが反発し合ってしまうと、トラブルが続く、物事が思うように進まないといった状況を招きやすくなるといわれています。
不動産の購入やオフィスの移転といった、その場所に長期間根を下ろすことになる大きな決断においては、その方位が持つエネルギーの影響をより深く、長く受け続けることになります。
だからこそ、不動産選びの際に方位の吉凶を判断材料の一つとして加えることは、ご自身のみではなく、ご家族や従業員の未来をより良いものにするための非常に賢明な知恵なのです。
吉方位とは?
吉方位とは、一言でいえば「その時のご自身にとって良いエネルギーが巡ってきている方位」のことです。
方位学では宇宙のエネルギー(気)は常に一定の法則に従って循環していると考えられています。
そのエネルギーには物事の発展や、成長させるポジティブな「吉の気」と、物事の停滞や破壊するネガティブな「凶の気」があります。
すなわち、ポジティブな「吉の気」が巡ってきている方位が「吉方位」です。
この吉方位へ引っ越しや旅行などで意識的に移動し、その土地に滞在することでその良いエネルギーをご自身の体内に吸収することができます。
これを「方位取り」や「祐気取り(ゆうきとり)」と呼び、古くから伝わる代表的な開運法の一つとされています。
この吉方位のエネルギーを味方につけることで、仕事運や金運、健康運そして人間関係運といった、あらゆる運気を向上させていくことができるといわれています。
【関連記事】吉方位とは?吉方位の調べ方や吉方旅行先での過ごし方を解説
吉方位の求め方
ここでいう「吉方位」とは「方位学」という占術から求められるものになります。
方位学とは陰陽五行説に基づき、ご自身の本命星を生年月日から判断し、その時々の移動先の方位が吉なのか凶なのか。どんな運勢が待っているのかを判断する学問です。
陰陽五行説は中国で生まれ3,000年の歴史があり、日本では平安時代より活用され、現在も「方位学」や「九星気学」として利用されています。
- 吉方位:良い影響がある方角で開運を引き寄せることができる
- 凶方位:悪い影響を引き起こす方角で運気が低下して不運を招く
旅行、引っ越し、留学など、宿泊を伴う移動がある場合に、方位学を知っておくと移動先でのトラブルを避けて運気を上げることができます。
では、良い運気をもたらす吉方位を知るためにはどうしたら良いのでしょうか?
まずは、あなたの生年月日から本命星をチェックしてみましょう。
本命星
本命星(ほんめいせい)とは、九星気学に基づいて記された、人がもともと持っているエネルギーを表すものです。
生まれた年の年盤の中央に位置する星のことで、私たちの運勢に常に大きく影響しています。
普段、何となく行動していて運が良い、運が悪いと感じるのは、その日ごとに変動する九星によって運勢が変わるからです。
本命星は、生年月日から算出され、以下の9つの星を示します。
- 一白水星(いっぱくすいせい)
- 二黒土星(じこくどせい)
- 三碧木星(さんぺきもくせい)
- 四緑木星(しろくもくせい)
- 五黄土星(ごおうどせい)
- 六白金星(ろっぱくきんせい)
- 七赤金星(しちせききんせい
- 八白土星(はっぱくどせい)
- 九紫火星(きゅうしかせい)
あなたの本命星がわかると、旅行や引っ越しに役立つ「吉方位」と「凶方位」を判断することができるようになります。
ちなみに、ここで言う「九星」とは、天体の星座を意味するのではなく、天地に働く「力」の働きを九種類に分けた言い方です。
吉方位と凶方位
旅行や引っ越しで吉方位を選ぶことを「吉方旅行」や「方位取り」と言います。
「吉方旅行」や「方位取り」をすると、単純に移動するだけで、ご自身の運気の流れを良い方向へと導くことができます。
また、吉方位へ出かけることで、心と体の健康状態も落ち着いて、金運、仕事運、恋愛運など、各運に幸運をもたらすことができます。
幸運な状態が続くと、無理に良くしようと努力しなくても自然体で行動できるようになり、ストレスがなくなって自分だけでなく周りにも良い影響が出てきます。
ここまでくれば、吉方位を取らなくても、立ち居振る舞い全てが自然の理にかなっていて、何事も上手く行く、最高の幸運体質になっているでしょう。
一方、凶方位を選んで行動してしまうと、悪い気が集まってきて、負のスパイラルに囚われ、何をやってもうまくいかない状態になりかねません。
そんな気を付けるべき凶方位の中でも、特に「五黄殺」「暗剣殺」「歳破」は、誰にとっても悪い三大凶殺と言い、厄災を招きやすくなります。
- 五黄殺:自分の判断から災いを引き寄せる方位
- 暗剣殺:自分の思いもよらない所から災いが降りかかる方位
- 歳破:その年の干支と正反対の方位で、約束事などが「破」れる方位
特に、引っ越しや旅行などで大きな移動をする場合は、吉方位に移動できれば最高ですが、もしできない場合は凶方位を避けて、吉でも凶でもない方位に移ることも大事です。
最大吉方
方位学で最も運気がよくなる方位 を「最大吉方」と言います。
「最大吉方」は、「本命星」と「月命星」に共通する吉星で、生まれた年の「本命星」と「月命星」から最も良い方位を知ることができます。
しかし、最大吉方がある人もいれば、あっても取るのが難しい人もいます。なので最大吉方は取れる時のみ取り、それ以外は本命星のみで吉方位を取ります。
本命星のみの吉方位でも十分
本命星の吉方位を取ると、環境が好転し、自然と良い運気の環境になっていき、良いエネルギーの流れにのって行動できるようになります。
また、吉方位のエネルギーをうまく引き寄せるには、移動先の神社や土地の湧き水を飲んだり、持ち帰ってお風呂に入れたりする「お水取り」や、土地の温泉に入ってリラックスして過ごすとか、その土地の名物(特産品・地場野菜・ご当地グルメなど)を食べることで、さらに吉方位のエネルギーを上昇させることができます。
吉方位を活用することで期待できること
そもそも、吉方位のエネルギーを意識的に生活に取り入れることで、私たちの人生にはどのような良い変化が期待できるのでしょうか。
運の流れを好転させる
吉方位へ移動して開運出来るという理由は、皆さんの運気が「充電」されるようなものです。
エネルギーが充電されれば、エンジンも元気に動き出すし、向かい風の中でも進むことができるし、障害物を乗り越えることもできる事になります。
障害を排除する体力・気力が復活すれば、これまで何をやってもうまくいかない、停滞していた物事が、まるで何かに後押しされるかのようにスムーズ、スピーディーに進み始める事が出来るという、良い流れを作り出すことができます。
仕事やプライベートにおいて、新たなチャンスが舞い込んできたり、長年の悩み事が解決に向かったりと、人生全体の運気のステージを一段階引き上げてくれる効果が期待できます。
環境が人の行動を変える
住む場所や働く場所の環境が、人の心や行動に大きな影響を与えることは、心理学的にも知られています。
良いエネルギーに満ちた吉方位の土地に身を置くことで、ご自身の気持ちが自然と前向きになり、ポジティブな思考や行動が促されるといわれています。
また、新しいことに挑戦する意欲が湧いてきたり、これまで苦手だと感じていたことに積極的に取り組めるようになるといった内面からの変化が、結果として大きな成功や成長へと繋がっていきます。
良い人間関係を築ける
吉方位は全体的に運気がアップするので、その運気の中には「ご縁」もあります。
新しい土地や職場でご自身を助け、引き上げてくれるような良い上司や同僚、あるいは生涯のパートナーとなるような素晴らしい人々との出会いをもたらしてくれる可能性があります。
また、これまで苦手だと感じていた人との関係性が改善したり、自然と距離ができるといった、ストレスのない良好な人間関係を築きやすくなります。
良いご縁は、人生を豊かにする何物にも代えがたい財産です。
吉方位を取り入れた不動産選びのコツ
では、不動産を選ぶ際にどのように吉方位の考え方を取り入れていけば良いのでしょうか。
その具体的なコツをご紹介します。
コツ①物件の方角と立地を確認する
まず基本となるのが、現在の住まい(あるいはオフィス)を中心として、購入を検討している物件がどの方位に位置しているかを正確に確認することです。
この際、一般的な地図ではなく方位が正確に分かる専門の「方位盤」や、インターネットの方位測定サイトなどを利用するのが良いでしょう。
そして、その方位が不動産を購入する年のご自身の吉方位と合致しているかを確認します。
また、物件そのものの立地条件も重要です。日当たりや風通しが良く、周辺に公園などの緑が多い開けた土地は、良い気が集まりやすいとされています。
コツ②玄関の方角に配慮する
家全体の方位だけでなく、良い気が入ってくる入り口である「玄関」がどの方角を向いているかも非常に重要なポイントです。
家相では、玄関はその家に住む人に対して、運気が入ってくる入口を意味します。この入り口が汚れていたり、家相上悪い方位にあると、ずっと自分の運気にダメージを与え続けることになってしまいます。
まずは、玄関がどの方位にあったとしても、玄関の内外を掃除して、整理整頓しておくことで、ダメージを受けないようにしてください。
家相における東西南北のとり方は
- 部屋の間取り図を用意する SUUMO等から部屋の間取り図をダウンロードして、印刷し、切り抜くなど
- 切り抜いた間取り図を指、出来れば針など、細いものの上に乗せ、バランスが取れる位置を探す
- バランスが取れた位置を「家(or 〇〇号室)」の「中心」とする
- 中心から八方位を「各60度」ずつ取る(方位学と異なっているのでご注意ください)
となります。4番目の家相盤は、ネットで調べれば無料の画像が出てくると思うので、そちらをお使いになられると良いでしょう。
次に運気をアップさせるにはどの方位が良いかと言うと、基本的には「東」「南東」「南」「北西」です。しかし、ご自身の十二支によっては凶になってしまいます。
例えば、辰年、巳年生まれの人だと、南東方位の玄関は凶になってしまいます。その場合は東か南か北西の方位に玄関がある物件に住むのをお勧めします。
「東」「南東」「南」「北西」の玄関が「凶」になってしまう生まれの人をまとめました。ご参考になさってください。
玄関の方位 | 凶となる十二支の生まれ |
東 | 卯 |
南東 | 辰 巳 |
南 | 午 |
北西 | 戌 亥 |
コツ③周辺環境や街並みをチェックする
物件の中だけでなく、その周りの環境にも目を向けてみましょう。
例えば、物件の近くの水路にゴミや汚れが詰まっていて、雨の時に水があふれてくる。匂いがひどい。雑草が良く生えていて掃除がされていないという場所は運気が悪くなると言われています。
もしそうなっているなら、時間を使って掃除されるのをお勧めします。お金と時間がもったいないと思われるかもしれませんが、そうすることで環境が良くなり、運気が好転してきます。
汚れの範囲が自分の物件ではなく、別のマンションの管理下にあるようであれば、面倒ですがその管理会社に連絡したり、もしくは区役所などに問い合わせすることで、解決できるかもしれません。
これと逆に、水路などが綺麗で臭いがなく、整理整頓されている道沿いの物件だったり、川や緑に面した穏やかな場所は良い気が集まりやすいとされています。
実際に、その土地を歩いてみてご自身が「なんだか気持ちが良いな」「空気が澄んでいるな」と直感的に感じられるかどうかといった感覚も、非常に大切な判断基準となります。
引っ越しのタイミングを考える
物件の方位だけではなく、その場所にいつ移動するのかといった「タイミング」も、運気に影響を与える重要な要素です。
【関連記事】運気が下がる? 凶方位に引っ越した際の対策方法を解説
年単位での吉方位
引っ越しのような人生における大きな移動は、まず「年盤」で、引っ越し先が吉方位になっているかどうかを見ることが基本となります。
ご自身にとって、引っ越し先が吉方位となる年に、引っ越しを実行するのが最も理想的です。
年単位での吉方位への移動は、その後の数年、あるいは十年単位で長期的な運気の安定と、発展の土台を築いてくれるといわれています。
転職や結婚といった他の人生のイベントと、タイミングを合わせる際には、この年盤を特に重視する必要があります。
例えば、新居を立てて引っ越す場合、土地探しから着工、棟上げから引き渡しまで、場合によっては1年以上かかってしまう場合があります。
そうすると、計画したときは吉方位だったのに、いざ引っ越しする時は大凶方位になっていた・・・という、取り返しのつかない事があり得ます。
なので、年盤が吉方位になるかどうかをしっかり確認してください。
月単位での吉方位
年盤での吉方位を確認したうえで、さらに「月盤」を見て引っ越しをする月を決定します。
年盤と月盤の両方で、ご自身の吉方位が重なる月は、その方位の良いエネルギーが最大限に高まる絶好のタイミングとなります。
このような年月が揃うタイミングは限られています。
そのため、不動産の購入を検討しはじめたら、数年先までのご自身の吉方位のカレンダーをあらかじめ確認し、計画的に準備を進めることが開運の鍵となります。
引っ越しの日取り
年と月が決まったら、最後は引っ越し当日の「日取り」です。
カレンダーに記載されている「大安」や「友引」といった六曜(ろくよう)を参考にするのが一般的ですが、実際にはこれはあまり引っ越しの日取りには関係ありません。
それ以上に大事なのは、引っ越しの日が、年盤と月盤でみて吉方位かどうかになります。
その上で、引っ越す日の日盤が、吉方位に当たるかどうかを調べて、選べるならばその日に引っ越しをするのがおすすめです。
どうしても日盤が吉方位でなく、凶方位だったとしても、年盤と月盤が吉方位だったなら大丈夫です。
六曜とそれぞれの意味
日本の暦には六曜(ろくよう)という考え方もあり、大安や仏滅などがこれに該当します。この六曜、九星気学とは関係ありませんが、最も身近にある旧暦の話だと思います。
以下に六曜とその特徴を簡単にまとめました。
六曜 | 説明 |
大安 | 「大いに安し」という意味で「特にやってはいけない事がない日」。大吉ではないので注意 |
友引 | 元々は「勝ち負けが決まらない日」の事。それが「友を引っ張る」というイメージが加わった結果、「勝負事や取引には吉」など、諸説ある日 |
先勝 | 「先回りして行動すると吉の日」という意味で、早起きをするとか、きびきび行動すると吉。そこから、午前中は吉の日、午後2時から6時が凶とされる。 |
先負 | 先勝とは違い、早とちりしてミスをしやすいから「何事も無難に修めるようにせよ」という日。なので、午前中はゆっくり過ごし、午後からゆったり始めたら吉というイメージができました。 |
赤口 | 元々は「逢魔が時」を指す。一日が終わって新しい日が始まる直前で、全てが暗闇に包まれ消え去る時間。それが日にも考えられ、大凶の日とされます。 言ってしまえば、お休みした方が良いよという「休息日」に当たります。 |
仏滅 | 「物が滅する」日とされ、物質面で損失があると言われる日です。なので新品を買うと「安物買いの銭失い」になりそうですが、整理整頓をして断捨離するなら吉と解釈もできます。 |
オフィスや店舗の移転にも吉方位を活用
こうした方位学の知恵は、個人の住まいだけでなくビジネスの拠点となるオフィスや、店舗の移転においても有効に活用することができます。
オフィス移転
会社の業績向上や、事業拡大を目指すうえで、オフィスの移転は大きなターニングポイントとなります。
社長や代表者にとって、吉方位へオフィスを移転することで良いビジネスチャンスや、優秀な人材とのご縁を引き寄せ、事業全体の運気を活性化させることが期待できます。
この場合見るのは、社長や代表者の吉方位になります。会社の運気は代表者の運気が一番重要となります。
社長の運気が良ければ、自然と会社の運気もよくなり、社員も働きやすい気の良い空間が作れるようになるでしょう。それが出来れば生産性の向上や離職率の低下にも繋がるでしょう。
この場合は、社長や代表者の「普段の住所」からと、「旧オフィス」の両方から方位を調べます。
基本は「普段の住所」から見ます。しかし人によっては「旧オフィスに毎日入り浸っていて、家には週末変えるだけです」という人もいらっしゃいます。
そういう場合は、旧オフィスの方にも起点が移っているいると考えるので、両方から方位を調べます。
店舗の開業・移転
飲食店や小売店といった店舗の成功の鍵は「集客力」にあります。
オーナーにとっての吉方位にお店を構えることで、良いお客様を自然と呼び込み、商売繁盛へと導いてくれるといわれています。
特に金運や人気運を高める方位を選ぶことでリピーターが増える、口コミが広がるといった安定した経営の基盤を築くことができます。
また、お店の入り口である玄関の向きを吉方位に合わせることも、多くのお客様を店内に招き入れる重要なポイントとなります。
しかし、生まれの十二支によっては、吉となる玄関が凶になってしまう場合もあります。前述した内容ですが、こちらでも記載しますので、再度ご確認ください。
玄関の方位 | 凶となる十二支の生まれ |
東 | 卯 |
南東 | 辰 巳 |
南 | 午 |
北西 | 戌 亥 |
吉方位だけでなく家相も物件選びの参考になる
方位学と並行して、物件選びの際に参考にしたいのが、建物そのものの間取りや配置の吉凶を見る「家相(かそう)」です。
運気が高まる立地条件
家相では、土地の形状や道路との位置関係も重要視されます。
例えば、南側が緩やかに低くなっている南向きの「ひな壇」の土地は、日当たりが良く、良い気が集まりやすい理想的な立地とされています。
また、正方形や長方形といった形の整った土地も、安定した運気をもたらすと考えられています。
逆に、三角形の土地や袋小路の突き当たりといった場所は、気の流れが滞りやすいとして、避けられる傾向にあります。
運気が高まる家の間取り
家の中の間取りにおいても運気を左右するいくつかのポイントがあります。
- 玄関: 良い気が入ってくる最も重要な場所。常に明るく、清潔に保つことが基本です。
- リビング: 家族団らんの中心となる場所。家の中心や、南向きの日当たりの良い場所に配置するのが理想的です。
- キッチン・トイレ・浴室: 水回りの設備は、悪い気が溜まりやすいとされるため、家の中心や、玄関の正面、そして鬼門(北東)・裏鬼門(南西)のライン上は避けるべきとされています。
上記のような家相の基本的な考え方を知っておくことも、物件選びの大きな助けとなります。
投資では吉方位よりも収益性の高い物件を選ぶことが重要
ここまで運気という側面から不動産選びを見てきましたが、もしご自身が住むためではなく「不動産投資」を目的として物件を購入するのであれば、その判断基準は全く異なってきます。
不動産投資の最大の目的は、家賃収入による収入を得る「インカムゲイン」。売却益を得る「キャピタルゲイン」を得ることです。
この内、キャピタルゲインを狙うとしても、購入してから5年以下で売買をしてしまうと「短期譲渡所得」という税金がかかってしまいます。仮に、今売ると500万円の利益が得られるとしても、それに198万円の税金がかかってしまい、差し引き300万円ぐらいの利益となります。
そもそも不動産物件は、年を経るごとに必ず資産価値が減っていきます。築5年の物件と、築25年の物件を比べた場合、物件だけで考えれば、25年の物件の方が価値が安くなります。
価値が高まるかどうかは、不動産物件の質ではなく、周りの環境(開発が行われた、再開発があった、駅ができた、人口が増えた・・・などなど)によります。
そして、これらの環境はご自身で変えられるものではありません。なので大事なのは、吉方位だから買うという思考ではなく
- そのエリアの賃貸需要は高いか(空室リスクが低いか)
- 将来的に資産価値が下落しにくい立地か
- 不動産管理会社は信用できるか(空室になった時に新しい入居者を見つけてくれるか)
- マンションの管理組合はしっかり機能しているか(修繕積立金を用意しているか)
- ローンを組んで購入する場合、金利変動を考慮しているか(0.2%金利が上がったら毎月赤字になるようなぎりぎりの金利かどうか)
といった、客観的なデータに基づいた事業性の判断が重要です。
いくら吉方位にあっても、入居者が入らなければその投資は失敗に終わります。
「投資」と「ご自身の住まい選び」は、その目的がまったく異なるものであるということを明確に区別して考える必要があります。
吉方位を活用して不動産選びを成功させよう
今回は、不動産選びという人生の大きな決断において、運気を味方につけるための「吉方位」の考え方と、その具体的な活用法について詳しく解説しました。
方位学や風水、家相は、決して非科学的な迷信ではありません。それは、人々が自然と、調和し、より豊かで幸せな暮らしを送るために、長い年月をかけて培ってきた壮大な「統計学」であり、実践的な「環境学」なのです。
物件の物理的な条件だけでなく、こうした目には見えないエネルギーの流れを判断材料の一つとして加えること。その多角的な視点が、ご家族にとって心から安らげる最高の「パワースポット」としての住まいを見つけ出す、大きな手助けとなるはずです。
(監修 松平兼幸)